スラブ舞曲 第12番:変ニ長調
アントニン・ドヴォルザークが作曲した「スラブ舞曲集 第12番:変ニ長調」は「ウクライナ地方の舞曲」です。
この曲は他の地方(例えば、ボへミア)の舞曲と比べるととても地味です。
そして長調だというのにどこか物悲しい。
スラブの歴史に疎い私などには単純に大国ロシアの外圧の中での「舞踏」のシーンを想像してしまうわけです。
どういうシーンなのか。
それは監視の目を気にしながら踊っているような、踊らざるを得ないような、そんな感じ。そんなイメージ。
こじつけのように思われるでしょうが、実際楽曲をお聴きください。
少なくとも今日の緊迫したウクライナ情勢を知ったうえで試聴するのならかの舞曲がなぜ変ニ長調なのか。
直感的に理解できるものと思われます。
有名な第10番のそれよりも深い深い哀愁が私たちの目の前に迫ってくるかのようです。
いささか不謹慎かもしれませんが、そういう妙に遭遇してみることは無関心へと流されがちな性質の現代人にこそ「刺激」であると考えます。
遠い異国の窮状を思うとき、その地方の舞曲の調べを手がかりにさらに想像力を働かせることができるというのはありがたいことです。
「スラブ舞曲 12番」を聴きながら、たぶん訪れることはない「ウクライナ(国土・言語・文化・市民 … )」が解体されないよう、願うばかりです。
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